掛け軸・額・屏風・襖 修復修理事例

修復修理の事例紹介

当店が掛け軸や作品へ行う修復修理の様子を一部紹介しております。経年劣化による折れや裂け、カビや染みなどの損傷を丁寧に修復します。

襖・掛け軸の折れや裂け修復

経年劣化によって生じた掛け軸や作品の折れ、裂けを修復修理します。

掛け軸などの修復修理を行う際は、作品を裏打ちしている和紙に水分を入れ、和紙を慎重に取り除きます。

その後、作品に付着した汚れを洗浄し、裂けた部分を綺麗に繋ぎ合わせたうえで、裏から和紙を貼って補強します。

裂けた部分が一部欠損し完全に繋がらない場合は、補強した和紙が表に見えることがあります。

その際は、作品の地色に馴染むよう和紙を天然染料で染色してから補強します。

また、掛け軸を巻いた際に生じた折れは、裏打ち和紙を取り除き新しい和紙で裏打ちした後、折れ部分に裏から2mmほどに切った和紙を貼り補強します。

特に痛みが激しい作品では、折れが全体に細かく広がることがあるため、一つひとつ丁寧に補強していく作業には根気が必要です。

当店では、こうした掛け軸の折れや裂けの修復・補強作業を通じて、作品を長く美しい状態で保つお手伝いをしています。

裏打ちや折れ伏せの意味を詳しく知る

襖 折れ・破れの修復前・修復後
折れ・破れ修復前・修復後

襖・屏風絵の欠損部分修復と補彩

襖絵や屏風絵の穴あきなどの欠損部分は、絵の下地に使われている素材にできるだけ近い和紙や絹などで補修します。

補う部分の和紙は、周囲の色に合わせて目立たないよう染色し、その後必要に応じて岩絵具による補彩を行います。

補彩は、補修した和紙の部分のみに行い、作品本体に岩絵具が付かないよう細心の注意を払って作業します。

襖 絵の欠損部分修復前・修復後
欠損部分の修復前・修復後

書画の染み・輪染みの除去

掛け軸や襖、屏風などの書画に生じた染みは、経年変化や水濡れによって発生します。当店では、水や薬品を用いた洗浄で丁寧に除去します。

輪染みの特徴と早期対応

よく見られる染みには、経年変化によって出てくるものや、水濡れでできる輪染みがあります。
輪染みは、濡れて間もない場合は、ほぼ落とすことができますが、時間が経つと水だけでは落としにくくなります。
万が一、掛け軸などが濡れて輪染みが出た場合は、日を置かずに処置することをおすすめします。

経年変化による染みとは

経年変化による染みとは、生活臭やホコリ、タバコの煙などが、掛け軸や襖、屏風など、生活空間に飾られた書画に吸着してできる汚れです。
この染みは、水による洗浄である程度落とせますが、中には水では落ちにくく変化したものもあります。

薬品を用いた洗浄と注意点

落ちにくい染みには、薬品を使った洗浄が選択肢に入ります。
ただし、薬品による洗浄は書画へのダメージや経年による風合いの損失を伴うことがあります。そのため、極力避けるべき手法として扱います。
まずは水による洗浄で染みの落ち具合を確認し、どの程度まで作業を行うかをお客様と相談しながら進めていきます。安全かつ丁寧な作業で、書画の美しさをできるだけ保つことを心がけています。

書画 染み・輪染み除去前・除去後
染み・輪染み除去前・除去後

書画に発生したカビの除去

作品に発生したカビを、当店では殺菌洗浄により除去します。

カビは水洗いだけでは取り切れないため、消毒液を用いてカビ胞子を死滅させます。

カビによる被害としては、作品の岩絵具や墨の定着力が弱まることがあります。そのため、殺菌洗浄を行う際は、墨や彩色が落ちないよう細心の注意を払います。

また、カビは殺菌洗浄後も跡が残る場合があります。発生した状態のまま放置せず、早めの対処が重要です。

書画 カビ除去前・除去後
カビ除去前・除去後

和本の修復修理

古い和本は、一度分解したうえで修復修理を行い、装丁し直します。

分解後は、各ページの折れや裂けを和紙で補強し、必要に応じて裏打ちを施します。

すべての修復が完了した後は、各ページを整えて和綴じ(わとじ)という伝統的な綴じ方で和本に仕立て上げます。

和本の状態によっては、折れや裂けを和紙で補強するだけで修復が完了する場合もあります。

和綴じについての紹介|芳雲堂ブログ

和本 修復前・修復後
和本修復前・修復後

表具全体の考え方については、こちらで詳しくまとめています。
表具について|掛け軸表装の考え方と判断軸