表具の仕事は、単に作品を仕立てることではありません。
制作年代や作品の性質、飾られる環境や用途を踏まえ、どの素材を選ぶかを判断することが本質です。
今の見た目だけでなく、数十年先の在り方を想像しながら、一つひとつの選択を重ねていきます。
表装の形式は、決められた型を当てはめるものではありません。
作品をどのような場で、どのような目的で掛けるのかによって、ふさわしい形式は変わります。
形式とは、素材や技法の選択を含めた表具の判断が、最終的に目に見える形として現れた結果です。
表具とは、作品を美しく見せるためだけの技術ではありません。
素材の選択や形式の判断、技法の積み重ねによって、書画を次の時代へと受け渡すための仕事です。
目に見えない部分にこそ手を入れ、将来の修復や扱いやすさまで考えた仕立てが求められます。