木の瓜のお話

暖かかったり寒かったり不安定な気候が続きますね。高野山は暖房器具が今も頑張ってます。

高野山はご存知の通り、お寺がとても多いです。よって襖も多いです。その襖には、開けるために引手が当然ついております。中でも要所要所に「御殿引手」という引手が使われます。

御殿引き手

これが御殿引手。とても豪華な引手です。

御殿引手は「木瓜(もっこう)紋」の形をしております。ある日、この引手を見て私は、この木瓜とは何ぞやと思ったわけです。

私の知っている木瓜とは「瓜の輪切りを図案化したもの」だったのですが調べてみると諸説ありました。もちろん瓜の輪切りも一つです。

この文様は中国発祥で、中国では「窠文(かもん)」と呼びます。窠とは鳥の巣を意味し、巣を上から見た形を図案化したといわれています。このことから子孫繁栄の願いが込められた文様なのです。

それが日本に伝来します。平安時代、御簾などの上部を装飾する「帽額(もこう)」という布に描かれていた文様が窠文で「帽額に描かれた紋」で「もっこう紋」となったという説もあります。

また、瓜は女性の象徴を意味し、その瓜を図案化することで子孫繁栄を願ったとか、中国神話の東王父が持つ瓜の伝説から瓜文様が好まれたとか、とにかく縁起の良い文様なのです。

木瓜紋

これだけ木瓜紋が並んでいると、なんだか縁起の良いことがありそうな...

この文様は元々、中国の官用文様であったことから公家の方々に好まれたそうです。また、文様に込められた意味もあってか武家の家紋にも、よく使われます。

少し話が変わって、同じ木瓜紋でも様々な変形があり、中でも「五瓜に唐花」は京都の八坂神社の御神紋です。(もう一つが左三つ巴)

その五瓜に唐花がキュウリの断面に似ていることから祇園祭の期間はキュウリを食べない方がいるらしいです。

また、違う変形で「木瓜渦」なんてものがあります。

木瓜渦

この文様はお寺の建築に彫り込まれていたりします。日本最古のものが広島県にあり16世紀代の建築だそうです。

改めて「木瓜紋」について調べてみると、昔々から親しまれてきた縁起の良い文様だということがわかります。ただの瓜の断面じゃないんです。

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