恒例。古糊の様子はどうでしょう

春のような暖かい日が、ちらほら出てくるようになってきました。大阪の方では、梅が開花しているようです。高野山では、まだ蕾の状態です。

先日、恒例の古糊の水替えを行いました。平成28年に仕込んだ糊に少しカビが出てきていました。いよいよ、耐カビへの第一歩を歩み始めたのでしょうか。

古糊に使われる糊は、小麦粉からグルテンを抜いたデンプンで作ります。似たような糊で米から作る糊があります。

小麦粉から作る糊は「正麩糊(生麩糊)」といいます。沈殿したデンプンを使うことから「沈糊」とも呼ばれます。そして米から作る糊は「姫糊」と呼ばれます。確か、舞妓さんの髪飾りの花かんざしを製作する時にも姫糊を使っていたように思います。

姫糊は、正麩糊に比べ接着力が強く、より濃度の薄い糊で作業することができます。しかし虫害に弱く、また我々でいう「ヤケ」という和紙が茶色く変色する現象が起きやすいです。

どちらも使ったことがありますが、正麩糊は触感がサラサラとしており、姫糊に慣れていると少し頼りなく感じます。

昔読んだ絵本「したきりスズメ」でスズメが、おばあさんの障子貼りに使う糊をスズメが食べてしまって舌を切られてしまうという話の筋でしたが、子供ながらに、糊なんか食べてスズメは大丈夫なのだろうかと思っていましたが、米や小麦粉から作られていたとなると、そりゃ食べてしまうかもなと、今では納得いく話でした。

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