本金の強み

前回の台風は本当に怖かったです。高野町は倒木・停電などの被害があり、主要な道路は通ったもののまだ所々で木が寝ている状態です。高野山奥の院が倒木による墓石への被害が大きいようです。台風はもう勘弁してほしいです。

さて、表具で使う裂地のなかで金糸を織り込んだ金襴があります。その金襴でも本物の金を使った本金襴、合金を使った合金襴、アルミ箔をベースにした新金襴などがあります。

それぞれの金糸は技術の向上もあり見た目に大差はありません。では、どこで差がついてくるかというと、やはり耐久度であると思います。

まず本金襴は金糸の変色がほぼ起こりません。江戸時代に作られた金襴でも金色を保ってくれます。そして、金糸以外の糸も絹を使用しますので、綿などに比べ耐久性が高い です。しかし、お値段はなかなか張ります。

本金襴

上の画像は、古い本金襴です。

合金襴は金糸の変色がありますが、新金襴に比べ長期間金色を保ってくれます。しかし新金襴は変色が目立つことがあります。

新しい新金襴

古い新金襴

上の画像は同じ文様の新金襴の新旧です。昔に作られた新金襴ということもありますが、古いほうは特にきつく変色しています。

ある日、裂地業者さんが言うには、かなり古い掛け軸の表装を見たときにどの金襴も金糸が変色していなかったそうです。つまり昔、表装に使われた金襴は本金襴しかなかったということです。なんとも景気の良い話じゃないですか。と思いますが、それも当然で、ただ合金襴・新金襴などが開発されていなかっただけなのでした。それでも黄金の国ジパングなんて言われただけあって、日本って昔からたくさん金が採れるのですね。

当店に来られる古い掛け軸でも表装に本金襴が使われている場合、金色の具合ですぐわかりますので表装に違和感が出ない限り再利用(締め直し)をおすすめしています。古い本紙には古色がついた裂地が圧倒的に合いますからね。

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