手打ち表装と機械表装

四国八十八ヶ所霊場などの御集印掛け軸を表装されるお客様とお話した時、よく出てくる疑問を取り上げたいと思います。

まず表装の仕方の違いについて。表装には大きく、手打ち表装と機械表装があります。

当店が行うのは手打ち表装です。すべて手作業で、糊を使って裏打ちを行い掛け軸に仕立てる伝統的な表装です。高級ランクの手漉き和紙を使い裏打ちすることで強靭さを加えており、長期保存に適しております。 また、加水することで剥がせる糊を使っておりますので仕立て直しができます。 しかし、裏打ちの度によく乾燥させるため仕上がりまでに時間がかかります。

近頃、見られるのが機械表装です。この表装では、熱で溶ける接着剤が付いた紙を使用し裏打ちを行います。アイロンで貼り付けられる布のようなイメージです。裂地などをその特殊な紙と一緒に大きなアイロンのようなプレス機に入れ熱圧着させます。機械表装は乾燥させる時間が要らないため、早く仕上げられます。また、掛け軸を掛けたときの掛かり具合は手打ち表装に比べ綺麗なように思います。しかし、機械表装は仕立て直しの際、特殊な接着剤を使用しているため加水だけでは剥がすことが出来ず、薬品を使うことになります。そして、その薬品は朱印を溶かす可能性が高く、御集印軸を仕立て直す場合は、かなり厳しい作業になります。

以上が表装の仕方の大まかな違いです。次の投稿では、裂地の違いについて載せたいと思います。

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