残暑お見舞い申し上げます。といっても残暑に相応しくない暑さの毎日です。高野山は連日30℃超えの気候でバテていますが、それでも全国的には涼しいほうなので贅沢は言えません。
そんな暑い中、上巻きに使う絹織物を裏打ちしておりました。まず上巻きとは掛け軸の裏面上部を裏打ちしてある薄い絹のことです。これは掛け軸を巻き終わったとき軸表面を覆って見え、擦れなどから掛け軸を保護する役目があります。
![上巻き 紺](https://www.ho-undo.jp/wp/wp-content/uploads/2020/08/DSC_0041-1024x577.jpg)
一般的に上巻きに使われる絹は「福島絹」と呼ばれるものを使います。福島県川俣町が産地で、地名から「川俣絹」とも呼ばれます。とても薄い織物です。
![福島絹](https://www.ho-undo.jp/wp/wp-content/uploads/2020/08/DSC_0304-1024x577.jpg)
![福島絹2](https://www.ho-undo.jp/wp/wp-content/uploads/2020/08/DSC_0305-1024x577.jpg)
通常、裂地を和紙で裏打ちする場合は和紙に糊を付け、その和紙を裂地に貼り付け裏打ちしていきます。ところが、この福島絹を裏打ちする場合は、絹に糊を付け、その絹の上に何も施していない和紙を貼り付け裏打ちします。このような裏打ちの仕方を「地獄打ち」といいます。なんとも恐ろしい名がついたものですが、通常と逆になる場合を”地獄”と表現するそうです。
一回に1m×2mくらいの福島絹を地獄打ちし、乾燥させていきます。そして作り置きするために、この工程を何回も繰り返します。暑い工房で。ある意味地獄でした。
![世界遺産の高野山で掛け軸などの製作修復なら当店へ ホームページはこちらをクリック 加勢田芳雲堂](https://www.ho-undo.jp/wp/wp-content/uploads/2021/11/4.jpg)