掛け軸には欠かせない和紙

仕上がった掛け軸の裏面にあたる和紙は、宇陀紙と呼ばれるものを使用します。宇陀紙は強度が高くかつしなやかなで紙面がとても綺麗な和紙です。

宇陀紙1

宇陀紙は奈良県吉野の国栖で作られ、国栖紙(くずがみ)と呼ばれていました。江戸時代に宇陀の商人が全国に売り広めたことで 今日では宇陀紙と呼ばれています。過去には傘紙などの需要がありましたが、現在では主に軸装の総裏打ちに使われます。

この紙を漉くときに特徴的なのが細かな土粉を一緒に溶かし漉く点です。この土粉の正体は、粘土質の石灰で、これを入れることで和紙がアルカリ質になり酸化しにくい和紙になります。また、和紙がしなやかに仕上がるので巻き癖が付きにくくなります。この土粉の中でも、吉野で採れる白土から作る土粉は紙の質がとてもよくなるそうです。私のお師匠さんが掛け軸の理想のしなやかさとして「毛布のようなしなやかさ」と表現されていました。毛布は分厚いけど巻き癖がつくことがありません。掛け軸も適度な厚みを持ちつつ、巻き癖の付かないしなやかさ。そんな理想の掛け軸に宇陀紙は重要なポイントの一つとなってきます。

宇陀紙2

国宝修理の際に使える材料は素材や製法から厳しく条件が付けられています。その中で宇陀紙は「国産楮・天然の木灰汁で煮熟・吉野産土粉入り・板に貼り天日仕上げ」となっており、この条件を満たす宇陀紙は限られます。奈良県吉野にある福西和紙本舗さんは6代続いておられる紙漉き工房さんで、現在も上記条件を満たす宇陀紙を伝統製法で漉かれています。

宇陀紙3

以前、450年ほど前に書かれた墨蹟をお仕立てさせていただきましたが、その時の和紙は管理がよかったこともあってか経年を思わせない状態の良さでした。これをお世話になっている和紙問屋さんに話したところ、管理する環境の良さもありますが、和紙が漉かれた当時の天然素材・製法による所が大きく、現在の工業的な紙では難しいだろうとのことでした。宇陀紙においても、発達した現在で、あえて天然素材と伝統製法で漉いてくれることで作品を次世代へ受け継ぐ助力となっております。

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