新年あけましておめでとうございます【虎と竹】

新年あけましておめでとうございます。今年も宜しくお願い申し上げます。

今年の干支といえば「寅」。古くから日本画の画題としてよく描かれてきました。しかし日本には野生の虎は生息していないので、昔の絵師は中国などから渡ってきた虎の絵を見本にし、猫の姿を参考にしつつ描いたという話は有名でしょうか。たしかに古い虎の絵を見ますと少し迫力に欠ける猫の面影が見え隠れする虎が多いことでしょう。

取り合わせが良いもののたとえに「獅子に牡丹 虎に竹 梅に鶯 紅葉に鹿」といった言葉があるように、虎の絵に竹が描かれているものがよく見られます。

虎に竹がセットで描かれるには諸説あるようです。昔、虎は中国から東南アジア北部、インドまでとアジア大陸の広範囲に生息していました。獰猛な動物である虎は一見、敵なしのように思いますが、象には太刀打ちできなかったようです。虎は象に襲われたときは、竹藪に逃げて難を逃れます。すると象は牙にヒビが入ることを恐れ、竹藪には入ってこないそうです。

少し話が逸れますが、古くから「象牙素材のものを持って竹藪に入ってはいけない」と言われているそうです。これは象牙が温度差により、ヒビが入る可能性のためではないかと言われており、ひんやりとした竹に象牙が触れると温度差でヒビが入るということです。

話戻って、象の脅威から逃れられる竹藪は虎にとって安息地であり、おのずと虎と竹のセットになっていったのかもしれません。

別の説では、奈良県法隆寺所蔵の国宝「玉虫厨子」にあります。この厨子は青緑に輝く玉虫の羽で装飾され、側面の一つに仏教の説話「捨身飼虎(しゃしんしこ)」の図が描かれています。

捨身飼虎 は、お釈迦様の前世物語の一つであります。「あるところに三人の王子がおりました。三人は森の奥深く歩いていると、飢えて動けなくなっている虎の親子に遭遇します。一人の王子が虎に自分の身を差し出し、飢えた虎の親子を救うことを決心します。しかし、虎は噛みつく力もないほど弱っていました。そこで王子は崖に上り、飛び降りることで虎に血肉を与えることができました。この慈悲深い王子がお釈迦様の前世である摩訶薩埵王子であった。」簡単に説明しますと、こんな物語です。

その捨身飼虎図が飛鳥時代のものとされる玉虫厨子に描かれており、竹林に虎がセットで描かれています。

元々、竹林で虎を見かけることが多かったのかもしれませんが、上記のような仏教説話が伝わるのと同時に虎と竹の組み合わせも広まっていったのかもしれません。

新年から長々と下手な文章を連ねておりますが、このような日本画や表装についてのアレコレを載せてまいります。たまに見てやってください。

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