年季の入った障子に要注意!

師走となり今年も残すところ僅かとなりました。大掃除をしていく中で今年のうちに障子を張り替えようという方もいらっしゃるかと。

障子の張替えで、あまり語られないのが障子建具の角度です。これは特に年季の入った建具・建物(お寺さんや昔ながらの民家など)に言えることですが、経年で建物が傾いてきた場合、障子と柱の間に隙間ができます。

 

障子

 

 

また、建物に傾きがなくとも和紙をめくられた古い障子が傾く場合もあります。傾いた障子

これらの傾きによる隙間は、建具を一つひとつ調整しながら和紙を貼っていくことである程度、解消することができます。建具が傾くこと、建物が傾いていることに気づかずに和紙を貼った場合、最悪こんなことになるわけです。

 

傾いた障子2

障子の張替えといえども、侮れません。皆様お気をつけ下さい。

当店でも障子の張替えを承っております。が、年末になると依頼が増えますので早々に障子の張替え、ご依頼していただくとありがたいです。

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過去に私用で作ったもの その1

藍染掛け軸 金魚

3年前、衝動的に藍染体験をしたくなり、奈良大和郡山にある『箱本館「紺屋」』さんで体験させていただきました。その時のご縁でイベントに参加させてもらったときの掛け軸です。

参加者は2色の藍染された布をいただき、自由に作品を作り出品することになっておりました。

当店は2幅の掛け軸を作り、その一つがこちらになります。大和郡山は金魚が有名ですので、朱白の柄がある着物を切り取り、金魚に見立て掛け軸に組んであります。そして、金魚の目先に「かすり」の着物で波紋に見立てた細工をし、金魚が水面に落ちたものを見に行くような景色を作りました。そして、掛け軸の右下には金魚の様子を眺める何者かの姿が・・・

『箱本館「紺屋」』さんは事前に予約が必要ですが、手軽に藍染体験が出来、オリジナルの藍染作品を作れます。伝統ある染め物に触れてみてください。

『箱本館「紺屋」』さんサイト http://www.hakomoto.com

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金砂子細工を実施

今回、金箔をパラパラと散らした装飾「金砂子細工」を行う機会がありました。普段の修復では金砂子が活躍することはほぼありませんので、久しぶりに行いました。

kin-sunago_tool

画像で見えている竹筒に金箔を入れてパラパラと箔を散らしていきます。網目によって散らす箔の大きさが変わります。上部の竹製のピンセットは金箔を扱うときに使います。

kin-sunago_1

金砂子細工では、まず膠を細工する場所に塗ります。

kin-sunago_2

十分に塗った後、金箔を入れた竹筒を振り、箔を散らします。どの程度箔を散らすのか、よく見ながら振ります。その後、薄い和紙などを上に静かに敷き、抑えます。

一回目は、このくらいになりました。乾燥後、更に足す場合は同じ工程を行います。

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二回目に箔色を少し変えて振りました。今回は、この程度で終わりました。

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屏風などの下地作り~蓑貼り~

骨子張り・胴貼りと下地作りをしてきたものに、蓑貼りを行いました。この作業の名前は仕上がった形が雨具の蓑に似ていることに由来します。

ちなみに皇室関連施設の襖には8枚や12枚も重なった蓑掛けがあります。

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屏風などの下地作り~骨子張り~

屏風や襖などの下地作りは、木で作られた枠【框(かまち)】と組子から成ります。そこに和紙を貼り重ね作ります。框と組子を合わせたものを「骨子」といいます。「骨」と呼ばれることもあります。

下地作りは大きく分け【骨子張り】⇒【胴貼り】⇒【蓑貼り】と工程が分かれます。今回は、最初の骨子張りを動画にしました。この作業で骨子が動くことがないように固定していきます。

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裂地の縮む様子を動画にしてみました

裂地の種類によっては水分が入ると縮んでくるものがあります。そんなものには、あらかじめ霧吹きで水をかけ、裂地を縮めておきます。

よく縮むものは目に見えて縮んで面白いですよ。

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掛け軸の収め方

今回は掛け軸の収め方について。前回の投稿「太巻芯の使い方」後半で紐を巻く前まで載せました。

巻紐から上巻を保護する厚紙を掛け軸に巻きつけた後、下図のように紐を一周させます。一周させ、巻きつけた紐の横へずらします。

掛け軸の巻き方

次に紐を、もう一周させ半月(横に通っている半円の棒)の上で交差させます。

掛け軸紐の巻き方

さらに、もう一周させ同じように半月上で交差させます。その後、紐を下図のように折り曲げ、掛け紐に差し込みます。

掛け軸紐の巻き方掛け軸紐の巻き方

折り曲げた紐を下図のように通し完成です。後は桐箱に収めます。

掛け軸紐の巻き方掛け軸紐の巻き方

桐箱内に軸先を受ける軸枕があります。この枕は幅に差があり、幅が広いほうに掛け軸の半月がくるように収めます。掛け軸の収め方

桐箱内には「揉み紙」という和紙を敷いてあります。この紙によって軸先の保護や掛け軸の緩衝材、多少の湿気を吸ってくれる等の効果があります。是非、使用してください。

掛け軸の収め方

軸を収め、両端の揉み紙を折り込みます。後は、桐箱のふたを閉め完成です。箱のふたは仕様によっては、向きがあります。箱を開けたときに向きが変わらないよう注意してください。特に箱書きをしてある場合は、注意してください。掛け軸の収め方

以上で掛け軸の収め方はおしまいです。桐箱のふたはきっちり作られており開けにくい場合があります。開ける際、力任せにすると箱が破損する場合があります。ご注意ください。

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太巻芯の使い方

掛け軸において、本紙の岩絵具が分厚く塗られている場合や本紙の折れがひどいものは補修後、太巻芯を用いて太く巻き、絵具の剥離や本紙の折れ発生を予防します。

太巻芯

太巻芯は半分に割れます。中に軸棒を入れ挟み込み、その状態で巻いていきます。芯には挟む向きが決まっており、わずかに削られ低くなっているほうが掛け軸の表面にくるように挟みます。これは掛け軸の厚み分だけ削ってあり、一周巻いてきたときに段差が出来ないように工夫してあります。

太巻芯

この時、気をつけなければいけないのが軸棒と太巻芯との間に、隙間が出来ないようにしながら巻いていくことです。ここで隙間が出来ていると軸棒が中で動き、裂地が折れてきます。

太巻芯

太巻芯に巻きつけていきます。はじめからきつく巻きつけることはせずにゆったりと巻きます。ある程度、巻き取ると「矢筈(やはず)」を使い、掛け軸をおろします。紐を掛けている釘などに手が届く場合は矢筈を使用しないほうが安全です。矢筈

掛け軸をおろすと平らなところに寝かせ、ゆっくりと巻きを絞めていきます。軽い力で巻いていき少し抵抗があるところで止めます。必要以上にきつく巻くと掛け軸の両端が擦れ、劣化するだけでなく本紙にまで悪い影響がでます。

巻き終わると巻紐による擦れなどから守るための厚紙を挟みます。そして、厚紙を掛け軸にグルっと一周させ、中に差し込みます。もし、掛け軸に垂風帯がついている場合は、風帯の下にも厚紙を挟みます。(画像は筋割り風帯)

太巻きの納め方太巻きの納め方

太巻きの納め方

あとは巻紐を巻いていき、桐箱に収めて完了です。紐の巻き方は近日公開。

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古糊作り~後編~

古糊作り後半になります。今回は古糊作りの仕込み段階を紹介します。

まず発酵してもらう糊から制作。小麦の澱粉を水に溶かし、火にかけます。
この混ざりかけの澱粉を手に取るとドロッと流れていくのですが、ギュッと握ると粉を握ったように硬くなる現象が見られます。ダイラタンシー流体って言うみたいです。
テレビで大量の水溶き片栗粉の上ですばやく足踏みすると沈まない実験とかしてますね。
こんな現象が起きる素材のせいか、なかなか水に溶けてくれません。

完全に溶けてから火にかけます。

noritaki

noritaki2

15分程度で糊化し始めます。

ここから、弱火でもう少し透明になるまでよく混ぜます。
火が強すぎると焦げて使えなくなるので、注意が必要です。
混ぜるにも糊の粘りが強く、かなり疲れます。

出来上がった糊を甕に詰め、冷まします。

今回、3回に分け糊を炊き合計6kgの糊が出来ました。

noritaki3

最後に水をはり、フタに封をして完成です。

noritaki4

次に対面するのは一年後。きっと水面カビだらけになるはず。

それまでおやすみ。

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古糊作り~前編~

一月末に古糊作りを行いました。

古糊とは小麦の澱粉から作る糊を甕に入れ、水をはり何年も発酵させ作る糊です。発酵させることで抗カビ性が生まれます。またこの糊を使用した軸装などがしなやかに仕上がります。

古糊は古くから大寒の時期に作ることが良いとされています。特に寒い時期の水が重要なようです。
そして、古糊は毎年はった水を入れ替える作業を行います。入れ替えない方法もあるようですが...

今回は今まで作った糊の水の入れ替えから行いました。

甕のふたを取ったところです。
furunori
あまりにキツイ絵でしたので取り除きましたが、本来はこの水面に黒いカビがびっしりと浮いています。

画像右端に少し写っていますね...

このカビは年数が経つごとに発生が少なくなってきます。
また経年により発酵臭もおさまります。仕込みから数年の古糊はかなり臭います。

furunori2

上の画像の糊は6年発酵させたものです。

使えるようになるにはもう少しかかるでしょうか。
当店で一番古いもので30年物があります。

furunori3

古い水を捨て、カビを取り除き、水をはり直しました。また一年じっくり発酵してもらいましょう。

次は古糊作りへ

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