
掛け軸の軸棒から出っ張っている部分を軸先と呼びます。
軸先は掛け軸を巻くときに役立ちます。また、掛け軸全体のアクセントになります。しかし軸先選びを間違えると表装の調和が崩れ、パッとしなかったり野暮ったい表装になってしまうのです。
さらに表装の形や書画(本紙)によって使うべき軸先の素材・形が決まっています。知らずに間違った軸先を使用すると表具師として恥ずかしいことになります。
では軸先にどんな素材・形があるのか紹介します。
軸先の素材には木材・骨材・塗物・焼物・金属材・樹脂材などに分けられます。
木材には黒檀(こくたん)紫檀(したん)花梨(かりん)などがよく使われます。いずれも硬く耐久性に優れた木材です。また、神道系の掛け軸には神木とされる一位(いちい)の木が使われます。
骨材には象牙・骨・角などの動物からとれる素材でできています。象牙は現在、取引が禁止されているため昔からの在庫を使用するか代用品を使います。また角軸先で鹿の角を使った軸先は鹿が神使である春日大社関係の本紙に使われます。


塗物は木材に漆塗りなどで仕上げた軸先です。黒漆や朱の色漆で仕上げたもの。黒漆に朱やベンガラを混ぜ、茶系の色で仕上げる潤塗り(うるみ塗り)。朱で塗った後に透明の漆で仕上げる溜塗り(ため塗り)が塗物の基本的な色です。そこに金箔等で装飾したもの(蒔絵など)もあります。



焼物は磁器・陶器で作られたもの、染付けから素焼きと、あらゆる焼物の軸先が作られています。格式を高くするべき本紙には使われません。


金属材は金軸と呼ばれ金属製の軸先に金や銀をメッキしたものです。主に仏表装に使われます。軸先に蓮華などを彫金してからメッキしたものが多くみられます。また金軸の中に、ひと回り小さい金軸や水晶を入れ、それが透けて見えるように加工した透かし金軸があります。



樹脂材の軸先は、上記の象牙や水晶製軸先など希少なものの代用品として見た目を似せて作られます。また、塗物軸先に似せた代用品もあります。
紹介できたのは、ほんの一部ですがたくさんの種類の軸先が存在し、それらを使い分け表装がより良く見えるように考えるのです。
ちなみに今まで紹介した軸先のほとんどが「頭切(ずんぎり)」と呼ばれる形で軸先の基本形になります。後編では、軸先の形について紹介したいと思います。
後編⇒「奥が深いぞ。軸先の話~後編~」

いきなりですが、これはイボタ蝋と呼ばれる蝋の塊です。
種は、ツヤツヤして硬いです。ムクロジの種は、お釈迦様のお言葉の中にも現れ、この種を使った数珠が「数珠の起源」とされています。
使ってみると、普段のガラス製に比べ、滑りにくいように思います。もう少し使うと馴染んでくるのでしょう。この数珠は使うほど磨耗していきますので、大切に使っていきたいです。
我々が勉強させてもらっていた京都の表具店が加盟している表具協会では、年に一度、表装の展示会がありました。そこでは各表具店が、普段依頼品に施すような表装とは違う、おもしろさ・楽しさに重点を置いたような少し変わった表装の掛け軸などを展示していました。
まぁ予想外に綺麗なもんで。水面に少しだけカビが出ている程度です。ただ匂いは発酵しているような匂いはしております。一年目はこんなものなんですかね。
水を入れ替えました。見た目は、ほとんど変わりませんね。これから、どんな変化があるのか。また来年、顔を見るのが楽しみです。

これは打出の小槌です。昔話にも登場し、振ると願い事がかなうというものです。
これは金嚢といい、お金を入れる袋です。富の象徴です。
これは分銅です。両替などに使われた分銅ですが、これも富の象徴です。
これは巻物と玉(ぎょく)と思われます。これも富の象徴でしょうか。
これは犀角(さいかく)です。動物の犀(さい)のツノです。薬になるようです。
犀角に似ていますが、これは丁子です。香辛料のクローブです。薬や香辛料に使われますが、昔は原産地が限られていたため珍重されたようです。
これは軍配です。勝利の象徴でしょうか。
これは隠れ笠と思われます。被ると透明人間になれるというもの。
これは宝鑰(ほうやく)といいます。宝物庫のカギです。







